特養ブログ

福祉用具【車椅子編】

福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律(福祉用具法)第2条において、

福祉用具とは、「心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障のある老人又は心身障害者の日常生活上の便宜を図るための用具及びこれらの者の機能訓練のための用具及び補装具をいう」と定義されています。(平成5年制定)

そこで今回は、特別養護老人ホーム成華園で採用している主に4種類の車椅子(くるまいす)の”特長と用途”について紹介します。

車椅子は、「歩けない人や長時間歩くことを困難とする人が座ったまま移動することのできる」代表的な福祉用具です。

ここでは、車椅子の基本構造や各部品の名称についての説明を割愛します。詳しくは、取扱説明書などをご覧ください。

 

それでは、最初に写真1の<自走用(自操用)標準形車椅子>です。

↑↑↑ 自走用(自操用)標準形車椅子(写真1)

 

このタイプは、病院や介護施設で一番よく見かけ、そして使われている標準的な車椅子の種類です。

後輪の大きさは20~24インチ程度で、ママチャリタイプの自転車と同じかやや小さめのサイズとなります。

このタイプの車椅子は、自ら

①車輪の横についているハンドリムを手で握って操作したり、

②普段は足を乗せ足台となるフットサポートを跳ね上げ、足で地面を蹴って、

それぞれ車椅子を自力で駆動・操作することができます。

これを自走(自操)「じそう」するといいます。

テコの原理により小さい車輪より大きめのサイズの方が、より軽い力で操作できます。要するに操作できる、自走(自操)しやすい仕様となっています。

そのうえ、少々の段差を乗り越えるにも強い設計となっています。

ただし車輪のサイズは大きすぎると、移乗動作の妨げとなったり、逆にブレーキをする力をより必要としてしまいます。

だから、このぐらいの大きさの車輪がちょうど適切となります。

 

↑↑↑ アームサポートを跳ね上げた状態の自走用(自操用)標準形車椅子(写真2)

 

写真2の車椅子左部のように、肘当てとなるアームサポートを跳ね上げて使用することにより、【車椅子】⇔【ベッドやトイレの便座など】への移乗を容易にし、

①介助者の負担軽減と、

②利用者のケガ防止などになります。

走行中など通常時には、このアームサポートを写真1のように戻さないと、車椅子から利用者の転落事故につながり、また別の大きなゲガの要因となるので注意してください。

 

↑↑↑ フットサポートを横側に拡げた状態の自走用(自操用)標準形車椅子(写真3)

 

写真3のように足台となる開閉式のフットサポートを横側に拡げることにより、【車椅子】⇔【ベッドやトイレの便座など】への移乗の際、膝より先の身体部分をぶつけたり接触することを回避し、皮膚の弱い高齢者にとっては、ケガの防止策にもなります。

車椅子自走(自操)中などの使用時には、このフットサポートを写真1のように戻して固定しないと、キャスタ(前輪)の可動域制限を起こしたり、フットサポートを人や壁柱にぶつけたりして、ゲガの原因や物の破損へとつながるので注意してください。

 

続いて、写真4の<介助用標準形車椅子>です。

↑↑↑ 介助用標準形車椅子(写真4)

 

主に通路幅が狭く、段差のない設計の戸建て・マンション(在宅)で使用されています。そのため、当介護施設では、数台のみの配置となっています。

自走用(自操用)標準形車椅子との主な相違点は、

①駆動用のハンドリムが付いていません。

②一般的に後輪は14~16インチで、コンパクトに軽量化された仕様となっています。

車椅子の横幅は、自走用(自操用)標準形車椅子(写真1)と比べ小さく、出入口や通路幅の狭い在宅での使用に適しています。

手押しハンドルを介助者が操作して走行するため、手押しハンドルには、介助者用のブレーキが必ず取り付けてれていることを標準仕様としています。

施設内にて、手でハンドリムを使って自走(自操)できる利用者への使用は、自立支援として不適切となります。

 

第3番目に写真5の<ティルト&リクライニング式車椅子>です。

↑↑↑ ティルト&リクライニング式車椅子(写真5)

 

これは、座位変形型車椅子の一種で、略して「ティルト式車椅子」とも呼んでいます。(写真5)

車椅子の使用には、利用者の身体の寸法に適合させることが大切であり、姿勢が崩れやすい場合には、クッションなどを使う方法のほかに身体支持に直接かかわる座面や背もたれ形状などを工夫する、ティルト機構やリクライニング機能を検討します。

座位姿勢の保持が不安定で、車椅子上で寝た状態の臥位(がい)をとる必要がある場合にも有効です。

↑↑↑ バックサポートとシートの角度が一定のまま後方に傾斜した状態のティルト&リクライニング式車椅子(写真6)

 

①リクライニング機能とは、特急列車や自動車の椅子のようにバックサポート(背もたれ)を後方に傾斜できる機能です。

②ティルト機構とは、バックサポートとシート(座面)の角度が一定のまま後方に傾斜し、傾斜角度を調節できることです。

この車椅子は、利用者の姿勢を傾斜させて使用するため、アームサポートの高さ(上下)を調整することも必要とします。

また、ティルト&リクライニング式車椅子は、標準形比べて大きく、重量も重く、この機構上、車椅子の前後径が長くなるため、屋内での取り回しや段差部分におけるキャスタの上げ操作を困難とし、在宅での使用には十分なスペースを必要とします。

 

最後に、<シャワー用車椅子>です。(諸事情により写真はなし)

浴室など水回り場所における利用を基に設計されたもので、折りたたみ機能のない固定式フレームとシート部分に座面があり、4輪キャスタによって小回りが利くようにできている車椅子です。心身の状態が低下している場合に、浴室まで乗り入れし脱衣後、そのまま身体を洗うための洗体用椅子として使用できます。

一般的な車椅子より前後車輪の大きさが小さいため、在宅などでは、浴室までの段差を解消しておくことや浴室内の取り回しが可能であるかを留意して導入する必要があります。

 

結びに、介助者は、利用者の車椅子での活動を保障するために、座面の幅や長さ、フットサポートやアームサポートの高さなどを身体の寸法に適合し、使用場所に応じたものを選択する必要があります。これをみて今後、介護福祉士など国家試験を受験予定されている方の手助けにもなれば幸いです!

もし反響があれば、次回【手すり編】に続きます。

 

今回のブログは、

・見て覚える介護福祉士国試ナビ(中央法規)

・福祉住環境コーディネーター公式テキスト(東京商工会議所編)

をそれぞれ参考文献として使用し作成しました。おわり

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